かつて私服警官の十八番であった、ストレートレッグジーンズは今、ルネッサンス期の真っ只中にいます。デニムは今、クロップド丈のキュートなスタイルではなく、無意味な要素を嫌う90年代の男らしいスタイルにシフトしているのです。足首を強調するようなデザインは忘れてください。「ダッド・ジーンズ」は、裾が靴にキスするようなデザインが特徴的。いうならば、美しい大邸宅で優雅にカーテンが床板に乗るのと同じように、バークス(ビリケンシュトック)やスニーカーの上に柔らかく、絶妙に折れ重なるこの「ダッド・ジーンズ」に慣れるまで、多少時間がかかるのは折り込み済みです。
DAD JEANS - TRUSTING THE TIAGO
歩道をはうようなデザインのズボンを想像して尻込みする前に、その利点を少し考えてみてください。「ダッド・ジーン」は着る人の足の長さを少なくとも3インチ長く見せ、下半身と対比させることで上半身をすっきりと印象付ける効果があります。そのシルエットに注目してみても、スタジオニコルソンのシステムに強い衝撃を与えるアイテムであることは明らか。体に添うように平行なラインが際立ち、ニュートラルでありながらどこかノスタルジックな空気をまとうデニムです。すっきりとした構築的な姿勢と、おてんば娘のような官能的な態度が共存するこのパンツをお酒に例えるとしたら「ピュアコットンの素材感が際立つ生真面目な印象のグラスに、ユーモアの精神(スピリッツ)を注いだドリンク」とでも形容できるでしょう。
今、下半身のスタイリングに力を注ぐこと。それはあなたが遂に生きたホンモノの活動に踏み出すための準備を整えたことを、宇宙全体に向けて発信する機会になります。「ダッド・ジーンズ」は、自宅でのZoom会議の際に机の下に密かに隠すようなアイテムではなく、多くの人に見られるためにデザインされているのです。体を細く、長く見せ、チェンジメーカーとなるこのデニムに移行するために鍵となるのは、フラットフロントが生み出す自然な生地のたるみをベテランのプロプレイヤーのように遊ぶ勇気です。あえてタックインしましょう。そこにベルトを効かせて攻めましょう。普段よりもエレガントな靴を選んで、休日のアンドロジナスな魅力を全力でアピールしましょう。
このようなシンプルにストレートなパンツは、テーラーリングと同じように着こなすのが一番。スマートカジュアルな着こなしがお好みなら、コンデジャケットの合わせを。このデニムを着こなすにあたって、古き良きハリソン・フォード(Harrison Ford)のスタイルは限りないインスピレーション源となるでしょう。ガスステーションサングラスとこんがりと日焼けした肌を組み合わせるだけで、「ダッド・ジーンズ」はハリウッドライクなグラマラススタイルに仕上がります。ビル・マーレイ(Bill Murray)もこのデニムでそのスタイルを確立した一人。スタジオ54でまったりと夜を過ごすために彼が選んだのは、トレードマークの独特な笑顔に、このデニムと不潔なワークマンズ・ブーツの組み合わせ。そう、「ダッド・ジーンズ」は強気なディスコ・デニムでもあるのです。このパンツはエキサイティングな冬を迎えるための(そしてそれ以降にも有効な)切符なのです。
スタジオニコルソンは、かつてから人気のアイテムTiago Denim Pantで、シンプルにストレートなルーズレッグに敬意を示してきました。このパンツは、単なるヴィンテージの模造品ではありません。実は裾に向かって巧妙に、ほとんど気づかないほどのゆるやかなテーパードが施されています。これにより、裾が不格好にはみ出るのを防ぎ、強調される長脚にある種の「完成度の高い」輝きが担保されるのです。キックフレアパンツのような事故物件なんて、誰も望んでいないのです。さあ、冗談はさておき、TiagoはいつものRuthe Denim Pantに代わる、信頼できる選択肢です。そして、それは方向性がしっかりと示された選択肢でもあります。洗練されたTiago。センシティブなTiago。まっすぐな姿勢が印象的なTiago。そう、ダッド・ジーンズをまとったあなたのお父さんは正しかったのです。