スタジオニコルソンを愛する様々な人へ、一問一答形式でインタビューを行う企画
“パッシング・ポインツ” シリーズで今回取り上げるのは、ビジュアル・ストーリーテラーで、アーティストとしても、スタイリストとしても知られる、ハリス・エリオット。彼のモジュール式ワードローブや、そのインスピレーション源となっている、様々なことについて聞きました。エリオットはイギリス特有の(大文字の)ブラックの立場や視点から、様々な社会的、構造的な改革をクリエイティブに促す団体、Black Orientated Legacy Development Agency (ブラック・オリエンテッド・レガシー・デベロップメント・エージェンシー / BOLD)の創設メンバーです。ロンドンのサマーセット・ハウスで開催され、彼らがキュレーションを務めた最新の展覧会『The Missing Thread : Untold stories of Black British fashion』(空白の糸:これまで語られてこなかったイギリス・ブラック・ファッションのストーリー)は、各方面から絶賛を浴びたばかり。ファッションや、音楽、アートが交差する分野で20年以上の経験を積んできたハリスのミッション・ステートメントは"Culture
without Compromise(妥協のない文化)"。このステートメントは、彼のクリエイティブなアプローチを端的に象徴する、強い言葉です。
PASSING POINTS - HARRIS ELLIOTT
"さまざまなレイヤーやテクスチャーの組み合わせに挑戦できる秋は、夏の代わり映えしないシングル・レイヤースタイルから解放される、素晴らしい季節です。"
もし、あなたのワードローブが自ら意志を持って話せるとしたら、あなたについてどんなことを話すと思いますか?
僕についてきっと、こう言うでしょう「ハリスは、日本らしい細かいディテールに凝ったアイテムや、日本的なシルエットが好み。それらを、彼独自の日常のスタイルに落とし込み、融合さるのが好きです。」と。
私たちが真に衣服を楽しむために、服の「形」や「フィット感」、「素材」は外せない重要な3つの要素ですが、それはいったいなぜでしょうか?
そうですね、通常スタイルについて語られるときにほとんど言及されないのは、この3つの要素の組み合わせで衣服が肌にどのように触れるのか、あるいは私たちがその素材に触れたときにどのような感覚を覚えるのか、ということです。でも実は、これらの生地との親密な関係を通してしか得られない、私たちの感覚的な体験が重要なのです。この体験こそ、私たちに力を与え、同時にリラックスさせたり、反抗の姿勢を促したり、反対に安らぎを感じさせたりするのですから。
もしあなたが今、お気に入りのスタイルヒーローに会えるとしたら、それは一体誰でしょうか?
それは間違いなく、Grace Jones(グレース・ジョーンズ)でしょう。彼の存在感や、エレガンスは唯一無二です。ポジティブな意味での奇抜さや、洗練されたスタイルを同時に併せ持つ、誇り高きジャマイカ人。グレースは、僕が折に触れて参考にする人で、僕にとっては強烈なインスピレーション源となる、強いスピリットの持ち主です。
着こなしが最も楽しめる季節を、ひとつだけ選ぶとしたら、それはどの季節でしょうか?
僕が選ぶ季節は、ずっと変わらず「秋」です。スタイリングの観点から一年を俯瞰してみると、さまざまなレイヤーやテクスチャーの組み合わせに挑戦できる秋は、夏の代わり映えしないシングル・レイヤースタイルから解放される、素晴らしい季節なのです。
HARRIS'S CURATED MODULAR WARDROBE: