SENIOR SNAPS - STUDIO NICHOLSON X GRAMPARENTS
スタジオニコルソンの真新しい、ヘッドクオーターズ。2023年6月2日から4日まで、オープンしたばかりのロンドン本社を会場に特別な写真展が開催されます。今回スタジオニコルソンが手を組んだのは、グランペアレンツ(Gramparents)。
会場にはスタジオニコルソンが掲げる理念の一つ、モジュール化された「エイジレスなワードローブ」に共鳴するように、大胆にキュレーションされたシニアスナップが並びます。ロンドン・フィールズの端に設けられた、スタジオニコルソンの新たな顔となる本社には、一階に開放的な光で満ち溢れる巨大なスペースがオープン。ここで行われた今企画展は、スタジオニコルソンが長年サポートしてきた大人気ムーブメント@gramparentsをリードするカイル・キヴィアルヴィ(Kyle Kiviarvi)とのコラボレーションによるもの。コレクションのムードボードでたびたび@gramparentsの写真を取り上げてきた、スタジオニコルソンのファウンダー、ニック・ウェイクマンにとって、今回のコラボレーションは必然ともいえる内容です。
高齢者が持つ独特で、大胆な雰囲気に、羨望の眼差しを向ける両者。歳を重ねることでしか得られないタイムレスなエレガンスを尊び、彼らの溢れる活力や、その自信に満ち溢れたスタイルを祝福する姿勢がクリエーターの2人を繋ぎ、展示を実現させました。自意識に囚われることなく、完璧な品の良さで際立つ被写体が並んだ展示スペース。@gramparentsは、ご年配の方が100%快適に過ごせる服を着て、ゆっくりとした実りのある生活を楽しんでいる様子を捉えています。
"最近では@gramparentsの被写体の高齢者のように、クラシカルなものにこだわる人を見つけるのは難しくなっていて、僕はそんな彼らをドキュメントせずにはいられないんです。そんななか、僕が立ち上げたインスタグラムの@gramparentsのページは、今現在、過小評価されてしまっている高い年齢層の人のなかでも、特に目を引くスタイルを持つ人たちへの、僕なりの謝意を表現する手段の一つなんです。"
彼らの脱力した姿勢こそ、究極のクール、といえるでしょう。2016年以来、@gramparentsは私たちの上の世代がいかにシンプルなものを楽しむのかを、一貫して鑑賞者にわかりやすく見せてくれています。ドミノ倒しを楽しむ姿や、公園での穏やかな散歩に繰り出す姿、湖畔で写生にふける姿や、近場の市場で屋台の果物を吟味する姿、お気に入りの本を繰り返し読み直す姿や、真剣にクロスワードを完成させる姿、バゲットを頬張る姿、タバコを吸う姿など、そこに映るのは無駄を省いた、機能的なルックのオンパレード。
展示の構成は、ニック・ウェイクマンが選びとった@gramparentsの様々な写真を並べ、スタジオニコルソンらしさを前面に打ち出して組まれました。手元のデジタルスクロールサイズからA3サイズに引き伸ばされ、ギャラリープリントへと飛躍したシニア・スナップス(Senior Snaps)シリーズは「自分のために服を着ることの喜び」を称賛する作品群です。若さに過度に傾倒する昨今の風潮のなかで、これらの作品は私たちに新たな視点を見せてくれます。どの写真も、年をとることは実は特権であって、洗練されたユーモアや、知恵、優雅さなどを携えながら生きていくことの素晴らしさや、生命の美しさを伝えています。
@gramparentsのファウンダー、カイル・キヴィアルヴィ(Kyle Kiviarvi)は@gramparentsの理念について、こう説明しています。「僕は、トレンドに振り回されるようなことはほとんどありません。僕が気になるのは、むしろ個性あるスタイルですが、最近では@gramparentsの被写体の高齢者のように、クラシカルなものにこだわる人を見つけるのは難しくなっていて、僕はそんな彼らをドキュメントせずにはいられないんです。そんななか、僕が立ち上げたインスタグラムの@gramparentsのページは、今現在、過小評価されてしまっている高い年齢層の人のなかでも、特に目を引くスタイルを持つ人たちへの、僕なりの謝意を表現する手段の一つなんです。彼らが、自分がクールであると意識していようがいまいが、あるいは自分がどう見られているのかすら気にかけていないケースも含めて、僕は彼らに感謝しています。彼らの完璧さは、言ってみれば不完全さの中にあるんです。彼らを見ていると、様々なことに気づかされます。服のボタンをすべて留める必要はないということ。何事も時間が経てば良くなるという楽観的な視点を持つことの大切さ。座ってゆっくりと過ごすだけで、物事を的確に見通す能力が高まるということ。そして、何でも大切に扱えば(それがどんなものであれ)とても長く使えるとのだということを教えてくれます。」
"若さに過度に傾倒する昨今の風潮のなかで、これらの作品は私たちに新たな視点を見せてくれます。"
自身も高齢者を愛してやまないニック・ウェイクマンも、こう続けます。「ここに展示されている黄金期の人々の写真を見ると彼らが、美しく保たれ、大切に手入れをされた衣服に囲まれているのがわかります。それらは、丁寧な洗濯やプレスが繰り返され、本来の寿命以上に愛されている服ばかりです。スタジオニコルソンのモジュラーワードローブは、まさにこう言った価値観を表す言葉です。それはつまり、最小限のものを持ち、気の張らないスタイルで自分に本当に合うものを知る、という感覚です。
今回の展示で、カイル・キヴィアリと組む以前にも、スタジオニコルソンは友人でブランドのコラボレーターでもある、ヒロノブを取り上げていました。88歳で初めてスタジオニコルソンを知ったヒロノブは、90代に。今では世界で最も歳を重ねた、モジュラーワードローブのファンのうちのひとり、と言えるでしょう。
シニアスナップス(Senior Snaps)は、スタジオニコルソンが掲げる「タイムレスなスタイル」や「究極の快適さ」、「年齢を超越したエレガンス」のほか、ポジティブな意味での「不遜な態度」を象徴しています。床から天井まで開かれた窓に囲まれ、むき出しの配管や、ゴム製の床など全てのディテールにスタジオ・ニコルソンらしさが追求された本社の広大な1階のスペースは、ハックニーを360°眺めるのにも最適な場所。素晴らしい会場で、スタジオニコルソンらしい、記憶に残る展示となりました。
展示会期:2023年6月2日(金)~6月4日(日)11時~17時
住所: Studio Nicholson, 9-15 Helmsley Place,
London, E8 3SB.
PHOTOGRAPHY BY: @FATMANAZILHAN, @ELIEYOBEID, @RAPHAEL_SON, @FATMANAZILHAN, @CLARABUNGE, @PASTEURI, @HOKANOBUNOBU
スタジオニコルソン編集長、リアンヌ・クラウズデール