ROBUST REALITY - MODULAR CANVAS SHOES

「お金をかけるなら、良い靴か、良いベッドに。だって僕らは、ベッドに横たわっていない間は常に靴に足を突っ込んでいて、靴に足を入れていない時間は常にベッドに横たわっているから!」いつも快活なデーヴィッド・マッケンドリック(David McKendrick)に、最近購入した靴Sharpsについて話を聞くと、エスプリの効いた返しで彼の生活信条を語ってくれました。アートディレクターらしく、たいていのことに口を挟む彼と、靴の話題で盛り上がるのは至って簡単なこと。ひと月ほど前から新しいスタジオニコルソンの Sharpsを履いて過ごしてきた彼に、その経過について問い始めると、嬉々として20分間も足を止めてくれました。

そして、こう話してくれました。「Sharpsのような靴は、まるで‘新たな物語を紡ぐための魔法の乗りもののような靴’、とでも形容できるでしょう。箱を開けた瞬間、こみ上げるその圧倒的な香りが僕の脳裏を刺激し、瞬時に13歳の頃の自分に戻れるような感覚に陥ります。純粋なゴムの匂い。この香りほど、新しい靴を前にしたときのあの独特な興奮を呼び覚ますものありません。瞬く間に沸き起こったノスタルジックな気分に引きずられるように、箱から出されたばかりのハイテック(Hi-Tec)やゴーラ(Gola)の記憶がフラッシュバックしました。」

多くの人が無意識に結びつける、キャンバスシューズと子供時代。私が育ったヨークシャー州では、キャンバスシューズを「サニーズ」と呼んでいました。小学校の規則では室内で外履きが禁止されていたので、ダッフルコートを脱いだらすぐに「サニーズ」に履き替えるのが風習でした。めったにないことでしたが、「サニーズ」を履かないときは、自分の名前が書かれたコットンのギンガムバッグに収めていました。一見、古風な儀式のようでしたが、おそらく校長先生が校内の神聖な寄木細工の床を守るために子供たちにサニーズを履かせて廊下を静かに、清潔に保ちたかったのでしょう。

実はとても繊細な違いが、新しいスタジオニコルソンの キャンバスシューズSharp and Numbersと一般的なプリムソールを大きく隔てる要として機能しています。元は1830年代にビーチで履くために開発されたプリムソールですが、スタジオニコルソンのキャンバスシューズは用途を限定しません。コットンキャンバスを驚くほど高密度に織り上げ、余念なく補強されたこのシューズは、急に天候が悪化した際にも問題なし。何層にも重ねられた天然ゴムが主張するSharpsは、世界でも最高級のキャンバスシューズを製造することで知られるスペインの小さな工場で、一貫して手作業で作られています。

プリムソールではなくあくまで「シューズ」としてデザインされ、スタジオニコルソンのフットウェアラインナップに加わったこの最新作は、より丁寧に、フォーマルなアイテムのように作られています。あなたの万歩計が処理できる歩数の範囲を超えた、高度な耐久性を持って製造されているので、通常のスニーカーのように「履きつぶす」のには苦労することでしょう。ノーザンプトン製のブローグ・シューズを眺めるのと同じレンズを通して眺めるべき、Sharps。驚くほど長持ちするように作られているのです。

マッケンドリックは、Sharpsの使用感について解説するボルテージを何ピッチか上げつつ、この靴を初めて履いた際に、「雷に‘2回ほど’打たれても大丈夫と感じた。」ことを説明してくれました。ものは言いようですが、この彼の感覚は決して間違ってはいません。Sharpsは予想以上に重い靴。全天候型のウェリントン・ブーツや、丁寧に作られたベンチメイドシューズ、あるいは完璧なキャンバス製プリムソールという様々な性格を合わせ持った靴です。加えてピュアレザーで作られたインソールが、日々の足取りをより一層洗練されたものにしてくれます。

私もカシミヤのソックスにDove色のSharpsを履いて、シェフィールドの街を闊歩してみましたが、異様に楽なレジャーシューズの類とはまさに雲泥の差でした。この靴は48歳の私の足をしっかりと包み込みながら、まるでハーマンミラー(Herman Miller)社製のアーロンチェア(Aeron chair)が背骨のサポートをするかのように、圧倒的な快適性を実現しながら、絶妙なアーチ加減で足を支えてくれました。まさに、間違いのない投資先、と形容シューズできるでしょう。

私のローカットSharpへの偏愛に共感してくれるもう1人の仲間は、コミッション・スタジオ(Commission Studio)の共同設立者で、クリエイティブ・ディレクターのクリストファー・モービー(Christopher Moorby)。以前はムーンスター(Moonstar)の愛用者だった彼が、代わりにSharpを愛用するに至ったのには、誰もが納得できる理由がたくさんあります。走ることが好きな彼は、細心の注意を払いながら靴を選びます。マラソンのスタートダッシュの前に辛い外反母趾になりたい人はいませんから。トラックに立つ日は別として、クリスは「僕は日々変化する、スニーカー市場について行く気力(あるいは動機)がない。」と公言します。「僕は発信の文化そのものが嫌いで、毎週新しい色が出たり、くじ引きに参加してやっとのことで最新のデザインのスニーカーを買うチャンスを得たりするのはごめんなんだ。」

そして、こう続けます。「無駄なものを削ぎ落としながら生き進むことの最大の魅力のひとつは、誇大広告に争うように、積極的に世間と違う方向へ動くことです。今、僕のワードローブになくてはならないものはきっとこの先何年も、僕のワードローブにあるべきもの。そして、これは僕にとって本当に重要なことで、これまで長い間、同じ姿勢で服を着てきました。5年前、10年前の僕の写真をパラパラと見ても、その写真に写っているものすべてについて、今日も積極的に着用できると断言できるほどです。実際、未だにそのころのアイテムをほとんど全て持っています(これは別の問題を生みますが...)。そして、このスタジオニコルソンのSharpも同様で、何年か先まで履き倒す自分を予見することができます。Chestnut色も素晴らしい色合いで、深みと豊さが表現されていて、まさに上質な靴のような質感に仕上がっています。レザー製のインソールも最高です。靴下が長持ちするのはもちろんですが、履く人のためだけの、贅沢な秘密の感触を味わえるシューズです。」

モービーは、履いてきたSharpsを今朝方わざと水たまりに突っ込んで、それでも靴下が乾いた状態でスタジオに到着したと、別れ際に嬉しそうに告白してくれました。この靴は、二人の大男と、そして私自身の中に未だ残る子供のような純粋な遊び心を、思いがけず引き出してしまうようです。このようなプレイフルなマインドは、スタジオニコルソンとモジュラー・ワードローブを体現するのにふさわしい要素。その意味で、Sharpsはその役割をうまく果たしていると言えるでしょう。