23年夏のコレクションで、スタジオニコルソンが独自に融合してみせたのは、徹底されたモダンな美学と、安心感のあるノスタルジックなテクスチャー。古くからあるフェアウェザー・ファブリックのルーツを徹底的に掘り起こし、現代を生きる私たちのための素材として生まれ変わらせました。未来を見据えて練られた今季のスタイルには、スラブ織りのフェアウェザーリネンをふんだんにあしらい、新鮮なシルエットに動きを持たせながら、伝統的な印象に仕上げています。そうは言っても、このコレクションは、過去を回帰することを主眼に作られたのものではなく、あくまでも歴史にインスピレーションを得ながら厳選された素材を、スポーツウェアのリラックスした要素を加えながら、知的なカットでクリエイティブに現代に蘇らせたもの。
WOMEN'S SUMMER '23 COLLECTION - GOLDEN HOUR POWER
厳しい湿度にも耐え得るようなパターンで組まれた服たちは、スタジオニコルソンの今シーズンのムードをうまく捉えています。コレクションに登場するモジュラー・エレメンツは今シーズンも変わらず、肌の上を滑るように設計され、体の動きを妨げないかたちで着用者の自由な姿勢を促します。それぞれのアイテムに施されたプリーツ、シームやスリットの他、ドロップウエストの配置によって、エレガンスを失わずに、季節柄湿った衣服内部の換気を実現。オープンバックのトップスやドレスは、冬の間に忘れ去られた女性らしさを称え、スタジオニコルソンの特徴的な、ガーメント・アーキテクチャー(構築的な服)を洗練された繊細な造りで完成させています。
フラットフロントで仕上げられ、ピンタックが入ったパンツには、あえて前中心にしっかりと折り目が入っています。そのパンツを支えるシックでゆったりとしたウエストバンドをヒップにかけることで、快適な履き心地を実現。レッグレングスは足首で美しくスウィングさせるようにカットされています。メンズウェアにインスパイアされた今季のセパレーツは、大胆でありながら爽やかで、ゆったりとした雰囲気に仕上げています。開襟シャツや、スポーティなドローストリングによるこだわりのディテール、羽毛のように軽い素材などを特徴とした今シーズンのアイテムは全て、気温に左右されることなく着用者のスムーズな着心地を追求しています。
また、今季の色調もゴールデン・アワー・パワー(GOLDEN HOUR POWER)のテーマに沿うように、とてもリラックスしたパレットで展開しています。空が美しい色に染まるゴールデンアワーを思い起こさせるチェスナットと輝くホワイトのグラデーションが特に印象的ですが、アンバー色に染まったGia パンツやPiero シャツも目を引きます。ニュートラルなバターのような色合いを引き締めるようにコレクションに散りばめられた、パール色やサンド色も引き立つような美しさです。Valleハーフプラケット、Soledadスカート、Velhoトップなどに施されたパーチメント仕上げは、暖かい季節特有の遊び心をソフトな感覚で表現。これらは長く暑い夏のために作られた、モジュール式定番のアイテムです。オーセンティックでヴィンテージな印象を受ける衣服の、ボリューム感を思い浮かべてみてください。あるいは、ナチュラルで手触りのよいシェイプを頭に描いてみてください。流れるような滑らかさを感じさせ、循環する空気をまとう、洗練された人を想像してみてください。このような感覚を呼び起こしながら五感を刺激するのが、スタジオニコルソン23年春夏のコレクションです。